原子爆弾とは〜注69

公開: 2019年9月23日

更新: 2019年9月xx日

注69. ハル・ノート

1941年11月26日、米国政府は日本政府に対して、日米の協定に関する基本事項をまとめた文書を提示しました。この文書は、米国当局の責任者であったハル国務長官(外務大臣と同じ)の名前をとって、ハル・ノートと呼ばれています。

その内容は、以下の通りでした。

  1. イギリス、中国、日本、オランダ、ソ連、タイ、およびアメリカ合衆国との不可侵条約締結
  2. フランス領インドシナ(現ベトナム)における領土主権の尊重
  3. 日本軍の中国及びフランス領インドシナからの撤兵
  4. 中国国民党重慶政府を中国政府とすること
  5. 中国国内における各国の租界と関連利権の放棄のための両国の努力
  6. 両国の最恵国待遇の回復と通商条約再締結の交渉開始
  7. 両国国内における相手国資産凍結の解除
  8. 円ドル為替レート安定に関する協定締結と通貨基金の設立
  9. 日独伊三国軍事同盟の実質的廃棄
  10. 両国による協定内容の推進

このハル・ノートが示した「日本軍の中国からの撤兵」が満州地域からの撤兵を含むものかどうかは、明確ではありませんでした。それ以前からの交渉の経過を見て、日本政府は、満州からの撤兵も要求されているとの可能性を危惧したようです。また、中国国民党の重慶政府を唯一の中国政府としたことは、日本が進めていた汪兆銘の南京政府を見殺しにすることが条件となっており、日本政府にとっては、受け入れられない条件と認識されたようです。

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